今回は「特定技能」について解説します。特に「職種」や「特定技能1号」に焦点を当てて、わかりやすくご説明します。特定技能制度は、日本で外国人労働者の受け入れを促進し、日本の人手不足を補うために導入された重要な制度です。日本社会が直面する課題の一つである労働力不足を補うために、この制度は非常に効果的な役割を果たしています。
特定技能とは
特定技能とは、日本で人手不足が深刻な業種で働くために外国人が取得できる在留資格です。この資格は、2019年に導入された比較的新しい制度で、日本国内の労働市場で需要の高い16の職種で働くことができます。これらの職種には、介護、建設、農業、飲食料品製造などが含まれています。これにより、日本国内のさまざまな産業での労働力不足を補うことが期待されています。
特定技能の制度は、既存の労働力に外国人を加えることで、日本の産業界が安定的に発展する基盤を整えるために設計されています。特定技能を取得するためには、業界ごとに指定された試験に合格する必要があります。また、日本語能力の評価も非常に重要で、日本語を理解することで現場での円滑なコミュニケーションが可能になります。
特定技能の対象職種
特定技能の対象となる16の職種について、具体的に紹介します。これらの職種は、日本国内で深刻な人手不足が課題となっており、外国人労働者が即戦力として期待されています。
- 介護
- ビルクリーニング
- 工業製品製造業
- 飲食料品製造業
- 外食業
- 建設業
- 鉄道
- 農業
- 漁業
- 宿泊業
- 自動車整備業
- 航空業
- 造船・舶用工業
- 外食業
- 林業
- 木材産業
現在は16の職種ですが、自動車運送業も追加されることになっています。2024年10月現在では明確な日程は示されていませんが、2024年度中には制度が開始される見込みです。また、今後も新しい業種が追加される可能性もあります。職種については随時確認すると良いでしょう。
特定技能1号とその特徴
特定技能には「1号」と「2号」の2種類があり、それぞれ異なる条件と特徴を持っています。今回は特に特定技能1号について詳しくお話しします。
特定技能1号の概要
特定技能1号は、現場での即戦力として期待される外国人労働者の在留資格です。この在留資格を取得するためには、日本語能力試験(N4以上)と職種ごとの技能試験に合格する必要があります。特定技能1号の在留期間は最長で5年間ですが、家族の滞在は原則として認められていません。
特定技能1号の目的は、日本の労働力不足を補うことにありますが、そのためには外国人労働者が短期間で職場に適応し、即戦力として働けることが求められます。日本語能力試験と職種ごとの技能試験をクリアすることで、日本の職場環境で必要とされるコミュニケーション力や基本的な技能を持っていることが証明されます。
特定技能1号の対象職種
特定技能1号の対象となる職種は16職種に限定されています。これにより、日本国内の深刻な人手不足を補うため、特定の業界で労働力の供給が行われています。例えば、介護業界では高齢化が進み、人材不足が深刻な問題となっていますが、特定技能1号によって多くの外国人労働者が重要な役割を果たしています。介護の現場で必要な技能と日本語能力を持った外国人労働者は、質の高いサービス提供に欠かせません。
建設業においても、特定技能1号の取得者は非常に重要な存在です。インフラ整備や建設プロジェクトにおいて、熟練した労働力が求められており、特定技能1号による外国人労働者の参入が、プロジェクトの円滑な遂行に寄与しています。農業分野では、特定技能1号の外国人労働者が収穫期の人手不足を補い、農産物の安定供給に大きく貢献しています。
技能実習から特定技能へ移行
技能実習から特定技能1号への移行は、多くの外国人労働者にとってキャリアのステップとなります。技能実習制度で得た経験を基に、特定技能1号に移行することで、さらに長期間日本での就労が可能となります。技能実習から特定技能に移行するためには、技能実習の期間中に必要な技能と知識を習得し、技能評価試験に合格することが求められます。この移行により、実習生は即戦力として現場で活躍することが期待されます。
技能実習制度は、日本で実際の業務を通して技能を習得するプログラムです。技能実習を経て、日本の職場環境や文化に慣れた外国人労働者は、特定技能1号へ移行することで、より高度な業務を担当することが可能になります。この移行は、日本の労働力不足の解消だけでなく、外国人労働者自身のキャリアアップにもつながります。
技能実習から特定技能1号に移行するためには技能実習2号を良好に終了している必要があります。逆に技能実習2号を良好に終了していれば、特定技能1号への移行が可能です。
特定技能の在留資格を取得するための手続き
特定技能の在留資格を取得するための条件や手続きを簡単に解説します。
日本語能力試験と技能試験
特定技能1号の資格を取得するには、まず日本語能力試験および各業種ごとの技能試験に合格する必要があります。これらの試験に合格することで、日本で働くための基礎的な知識とスキルが認められます。日本語能力試験は、特に日常会話レベルの理解力が求められ、日本の職場でのコミュニケーションの基盤となります。
技能試験に関しては、業種ごとに異なる試験内容が設定されており、特定の職種に必要な技能が評価されます。例えば、介護の分野では、利用者への適切なケアの提供や安全な介助方法などが評価されます。一方で、建設業では、道具の使い方や基礎的な建設技術が試験の対象となります。
雇用契約の締結
特定技能1号で働く際には、雇用主との間で労働契約を締結し、労働条件や待遇などが明確に記載されていることが求められます。これにより、外国人労働者が安心して働ける環境が整備されています。雇用契約には、労働時間、給与、福利厚生、退職金などの条件が含まれており、これらの条件が明確に定められていることで、トラブルの回避につながります。
在留資格認定証明書の交付申請
在留資格認定証明書の交付申請を行います。この手続きは行政書士がサポートすることが可能です。専門的な知識を持つ行政書士のサポートにより、スムーズに手続きを進めることができます。申請手続きには、労働契約書や雇用主からのサポート書類が必要であり、これらを適切に準備する必要があります。
特定技能2号との違い
特定技能1号と2号の違いについても簡単に解説します。特定技能2号は、より高度な技能を持つ労働者向けの資格で、在留期間の延長が可能であり、家族の帯同も認められています。一方で、対象となる職種は現在のところ限られています。
特定技能2号は、特定技能1号の在留期間を終えた後、さらに技能を深めることができた労働者に対して発行される資格です。この資格は、労働者が高度な技能を身に着け、長期的に日本で働くことを目的としています。特定技能2号では、家族の帯同も認められており、より安定した生活環境での就労が可能となります。
まとめ
特定技能1号は、日本の人手不足を補うために非常に重要な役割を果たしている在留資格です。さまざまな分野で外国人労働者が活躍し、日本社会に貢献しています。行政書士として、特定技能に関する手続きや相談を通じて、外国人の方々がスムーズに日本での就労生活をスタートできるようサポートいたします。
特定技能制度を通じて、日本の労働力不足を補い、外国人労働者の生活とキャリアアップを支援することが可能です。特定技能についてご不明な点やご相談がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。専門知識を活かして、しっかりとサポートさせていただきます。