建設業許可の要件

建設業許可を取得するためには7つの要件をすべて満たさなければなりません

  1. 誠実性
  2. 欠格要件に該当しない
  3. 財産的基礎
  4. 専任技術者
  5. 経営能力(経営業務の管理責任者)
  6. 社会保険
  7. 営業所の独立性

それぞれの要件を見ていきましょう。

誠実性

誠実性とはそのままの意味で誠実性がないと許可できませんということです。

具体的には建設工事の請負契約時に、暴力団だったり、詐欺や横領など、請負契約に違反する行為がありませんよねということです。

あたりまえのことですけど、不正や不誠実な行為をする建設業者には許可はできませんよということです。

誠実性が必要となる対象となる人は個人事業主であれば本人、法人であれば役員全員です。

欠格要件に該当しない

欠格要件とは簡単に言うと、今まで悪いことをしていなかったかどうかということです。

次の欠格要件に該当する場合、建設業許可をうけることはできません。

  1. 許可を受けようとする者が破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  2. 不正の手段により、建設業許可を取得し、その建設業許可の取消処分を受けた日から5年を経過しない者
  3. 建設業許可の取消処分を逃れるために、廃業届を出した者で、届出の日から5年を経過しない者
  4. 禁錮以上の刑に処され、その刑の執行を終わり、またその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  5. 次の罪を犯したことにより、罰金刑に処され、その刑を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年経過しない者。建設業法の規定違反、建設工事の施工に関する法令違反、建設工事に従事する労働者の使用に関する法令違反、暴力団員による不当な行為の防止に関する法令違反、傷害罪、現場助勢罪、暴行罪、凶器準備集合罪、脅迫罪、背任罪、暴力行為等処罰に関する罰
  6. 未成年の法定代理人が次に該当する場合。暴力団員等がその事業活動を支配する者、暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  7. 暴力団員と関係がある者。暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  8. 精神の機能の障害により建設業を適正に営むに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者

この欠格要件は申請書提出時だけではなく、許可取得後にも関係してきます。

欠格要件の対象となる人は個人事業主であれば本人、法人であれば役員全員です。

財産的基礎

財産的基礎要件とは、一定以上のお金を持っていないといけませんよということです。

これは、工事を依頼した人が発注先の業者の倒産などのリスクを少しでも減らすため、許可業者に金銭的信用を科しています。

その要件は次の2つのうちどちらかを満たしていることが必要となります。

  1. 自己資本額が500万円以上であること
  2. 500万円以上の資金を調達する能力を有すること

簡単に言うと、500万円以上お金をもっていることです。

それを証明するためには2つの方法があります。

  1. 直近の決算日の貸借対照表(純資産額が500万円以上ある)
  2. 銀行の預金残高証明書(残高が500万円以上あり、申請書が受理される1か月以内のもの)

このどちらかに当てはまっていれば、財産基礎要件を満たしていることになります。

専任技術者

専任技術者とは業種に対応する工事に必要な知識や経験が豊富な専門性を有することやその資格を持っている技術者のことです。

もちろん29業種の業種ごとに求められる資格や経験は異なります。

それでは、どのような技術的専門性を有していれば、要件を満たすのでしょうか。

次の3つのうち、いずれかの条件を満たすことが必要となります。

  1. その業種に必要な資格を持っている
  2. その業種の実務経験が10年以上ある
  3. 指定学科卒業かつ一定以上の実務経験がある(高校卒業後5年以上の実務経験又は大学卒業後3年以上の実務経験)

専任技術者は1社に専属でなければなりません。例えば同じ専任技術者がA社とB社の専任技術者になることはできません。

また、専任技術者は常勤で雇うか常勤の役員に就任していなければなりません。

経営能力(経営業務の管理責任者)

経営業務管理責任者とは、建設業の役員の経験が5年以上ある者が、建設業許可申請を行う企業の役員として常勤で在席していなければならないというものです。略して「経管(ケイカン)」と呼ばれています。

ここで言う役員とは、株式会社・有限会社の取締役、合同会社等の持分会社の業務執行社員、支店長、営業所長、個人事業主または支配人、法人格のある組合の理事等をいいます。監査役や会計監査人等は含まれないので注意しましょう。

建設業に関する経営経験が5年以上ある人がいない場合でも、取締役経験5年のうち2年以上が建設業で、その人を補佐する財務・労務・運営の経験豊富な社員がいるという場合等も、建設業許可における経営経験の要件を満たす常勤役員等になることができます。

ケイカンは1社に専属でなければなりません

社会保険

社会保険要件とは、健康保険、厚生年金保険、雇用保険の3つに加入義務のある事業者は、必ず3つすべてに加入していることです。

健康保険、厚生年金保険

法人の場合は、国民健康保険組合(土建健保や建設国保など)、健康保険組合、全国健康保険協会(協会けんぽ)のいずれかに加入している必要があります。

個人事業主の場合は基本的には国民健康保険に加入していれば、要件を満たしているとなります。

雇用保険

雇用保険は法人、個人事業主は関係なく、週20時間以上働く労働者を雇っている場合は加入が必要です。

営業所の独立性

営業所の独立性とは事業専用のスペースを有する営業所が必要であるということです。

営業所では建設工事の請負契約を締結する、接客スペースがあることが要件となっています。

その要件は次の4つを満たしていることが必要になってきます。

  1. 外部から来客を迎え入れ、工事請負に関する見積り、入札、契約締結等の実体的な業務を行っていること
  2. 固定電話・机・各種事務台帳等を備え、契約の締結等ができるスペースを有し、かつ他の事業者とは明確に区分されている
  3. 個人の住宅のなかに事務所がある場合は、居住部分と適切に区別され独立性が保たれていること
  4. 営業用事務所としての使用権原を有している
  5. 看板、標識等で外部から建設業の営業所であることが分かる表示がある

※固定電話については不要とされている許可行政庁もあります

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